宮本から君へ
予告を見た瞬間、その溢れる熱量が伝わってきて「これは絶対観なくてはならない作品だ」と思っていたんですが、僕の住んでいる地域では上映していなくてw
仕方なく諦めていましたが、やっとDVDやら配信やらが始まったので今回鑑賞する事ができます。
主演の池松壮亮さんと蒼井優さんも大好きな役者さんなので、それだけでも観る価値ありな作品ですね。
公開されてからけっこう経ちますが、いまだに予告以外の情報は入れていませんので本当にまっさらな状態です。
原作のマンガも読まずドラマも観ていないので、純粋にこの映画だけで「宮本から君へ」を楽しむ事ができるというわけですね。
なんかこの作品は、しのごの言わずとにかく観ろ!って言われてるような感じなので、「Don’t think Feel.」でいきたいと思いますw
ではでは早速鑑賞させていただきます。
よろしければお付き合いくださいませ。
感想
不器用な宮本の真っ直ぐすぎる情熱が眩しくて羨ましい。
この男ならどんな困難にも立ち向かっていける!
彼の生き様に勇気をもらう事ができた。
以下ネタバレがあります。
言葉にならない溢れる感情
宮本浩と中野靖子という不器用なふたりが愛し合い、ぶつかり合い、感情のままに叫び合う。
その姿が醜くもあり、だけど美しい、このふたりだからこその生き様を見せつけてくれる情熱的な愛の物語でありました。
とにかくですね、主人公の宮本が真っ直ぐなんですよ。
元カレとのやり取りで揉めている靖子に対して「この女は俺が守る!」なんて言っちゃうんです。
恥ずかしくてなかなか言えるものじゃありません。
だけど宮本は言っちゃうんです。
そんな宮本の力強い言葉に靖子も信じてみたくなってしまうんですよね。
いっときは二人の間に幸せな時間が続きますが、取引先の部長の息子である拓馬との出会いにより引き裂かれることになってしまいます。
酔っ払って寝ている宮本の目の前で拓馬に襲われてしまった靖子。
その怒りや憎しみは宮本に向かってしまいます。
目の前にいたのに助けを求めたのに答えてくれなかった。
靖子は宮本との関係を終わりにしようとします。
これってすごく辛いですよね。
一番悪いのはもちろん拓馬ですけど、かといってどうすることもできなかったわけで。
助けてくれるはずの人が目の前にいる状態での屈辱ですから、なんとも歯痒いというか。
どうしても宮本を攻めたくなるのも仕方ないですし、とにかくやり場がない感情ってこういうことを言うのかもしれません。
靖子に起こったことを知った宮本は、当然怒り狂います。
拓馬にものすごい勢いで向かって行きますが、一撃でやられてしまいます。
拓馬はラグビー選手で怪物と言われるほどの怪力の持ち主なので、返り討ちにあい前歯を折られてボコボコにされてしまいました。
でもここで諦めないのが宮本なんです。
なんかトレーニングみたいなものを始めちゃうんですよね。
重いリュックを背負って両手にも思いカバンをダンベルがわりにたり、街の電柱に向かっていきなり逆立ちで腕立て伏せを始めたり。
もう一度、拓馬に勝つために。
今度は絶対に負けられない戦いとして。
一度負けた相手に修行をしてまた挑むなんて完全にジャンプの主人公ですが、宮本はなんの迷いもないところがすごいです。
そんな最中に聞いた靖子の妊娠の事実。
宮本は靖子の職場に乗り込んで結婚しようと叫びます。
ここも周りに職員たちがいるのに堂々と告白するんですよ。
自分がこうと決めた事は真っ直ぐに貫く姿勢がカッコいいんですが、側から見たらやっぱり変な人ですよね。
靖子にも「俺は俺はって、あんたは自分の事ばっかりじゃない!」と突き返されてしまいます。
それでも宮本の覚悟は変わりません。
拓馬の父親から居場所を教えてもらい彼の自宅に乗り込みます。
ここでの戦いがまた壮絶なんです。
案の定ボコボコにされてしまうんですがとにかく痛みがダイレクトに伝わってくる描写なんですよね。
倒れた宮本に対しての膝蹴りなんかすごい衝撃でしたし、指を折るところなんかミシッていう音が生々しくて思わず顔を背けたくなるほどです。
しかしもみ合いの中で拓馬のズボンが破れてしまい、下半身スッポンポンになったところから反撃が始まります。
顔にゲロからの金的げりで形勢逆転、とにかく勝つための執念しかない宮本はなんでもします。
取っ組み合いからのまたもや金的掴みで勝機を得た宮本は、なんとそのまま引きちぎってしまうんですね。
いや多分引きちぎったよな、あの痛がりようはそうとしか思えません。
そこからの馬乗りパンチから逃げようとする拓馬にもう一発、そして勝利の雄叫びをあげる宮本。
絶対に負けられない戦いに勝利した男の表情は晴々としたものでした。
そして再び靖子に会いに行くんですけど彼女の気持ちは変わらぬまま。
彼女もまた、ひとりで産んでひとりで育てる覚悟を持っていたと思うんですよね。
だけど宮本はそんな靖子のことを全然気にする事なく言ってのけます。
「お前がどう思おうが知ったこっちゃねえ、俺がこの先死ぬまでずっとそばにいてやるよ」
「お前らまとめて幸せにしてやるよ、俺の人生バラ色だからよ!」
こんなに真っ直ぐな男がいるでしょうか。
こんなにもひとりの女性を愛する事ができる宮本を羨ましく思います。
本当にこの先のふたりの人生はバラ色なんだなという未来しか想像できない素敵なシーンでした。
まだまだ大変な事がたくさん待っていある事でしょうが、宮本ならきっと乗り越えてくれるに違いないと思わせてくれる力がありますね。
いやー、すごい男だ宮本は。
うまく言葉にできない感情が溢れてきて、圧倒されっぱなしの2時間でした。
集中していないと置いていかれてしまう演出
今回自分は原作もドラマも観ておらず、まっさらな状態でこの作品を観たわけですが、少し戸惑ったのが話の追い方です。
まず時系列がバラバラなんですよね。
今現在の宮本と靖子を追っていたかと思えば、次のシーンでは少し前のふたりを描いていたりするわけです。
いきなり時が変わるので一瞬、ん?となるのですが「ああ、この時のはちょっと前の話なんだ」という事がちらほら。
この感じは冒頭からも現れていて、要は最後の拓馬との対決のすぐあとからの描写で物語は始まるんですよね。
何やらケンカをしたのだけれど、相手との和解は済んでいて被害届も出ていない。
結果から先に描いている事が、だんだんと見ていくことによって気づくという面白い演出なんです。
靖子と元カレが揉めていたかと思えば、次のシーンでは宮本と一緒にご家族に挨拶に行っている。
未来は宮本と靖子がちゃんと一緒に歩んでいることを見せながら、後からなぜそうなったかを見せてくれるから、ふたりを見届けるような目線で見る事ができたのがよかったですね。
原作やドラマを観てから映画版を観るとまた違った視点で楽しむ事ができるかもしれません。
僕と同じように、何も知らない状態で観る方は集中していないと置いてけぼりにされてしまうかもしれないのでご注意を。
役者陣の熱量もすごい
これだけのパワーみなぎる作品になったのは、演じている役者さんたちの体当たりな演技にも出ていたのではないでしょうか。
宮本を演じた池松壮亮さんに関してはもう観てもらえばわかりますw
けっこう冷静で落ち着きのある役が多いイメージがあったので、今回の熱すぎるキャラクターに驚きを隠せなかったです。
ホントに魂の叫びという感じで神がかってました。
宮本という人物が現実にいるんだというくらい完全に一体化してましたね。
靖子を演じる蒼井優さんもまたすごい。
何をやらせても上手な役者さんですが、池松さんとの息がピッタリなんですよね。
実際のカップルのようで、その感じはベッドシーンで特に感じました。
なんか空気感が自然というかリアルというか、これを演技でやれるのがすごいです。
それにしても池松さんってベッドシーン多いよなあw
他にも拓馬を演じた一之瀬ワタルさんの迫力なんて、どうみても本物にしか思えない存在感だったし、そのお父さんのピエール瀧さんもこんな大人いるよなって感じの怖さが健在でした。
あと佐藤二朗さんの真面目な演技ってドラマのデスノートの時以来に見ましたね。
スリーサイズの件、逆に怖さが目立ちましたw
井浦新さんに関しては、ああいったちょっとダメな男が似合いすぎててさすがの一言ですね。
濃いキャラクターが多い作品でしたが、それを上回るくらいの役者陣の熱演によって、映画版「宮本から君へ」がより魂を揺さぶる熱い作品になったのは間違いないと思います。
宮本から君へを評価
はまはま的評価 ⭐️⭐️⭐️⭐️⭐️⭐️⭐️⭐️ 8/10
圧倒的な作品のパワーに打ちのめされました。
とにかく一度観てほしい。
終わりに・・・
観終わったあとも、宮本の今後が気になってしまうくらいのパワー溢れる作品だったなあと強く感じました。
現実に起きたことに、宮本ならこうするんだろうなあと考えてしまうのは、羨ましさや憧れからなのかはわかりませんが、彼の生き様がメッセージとして強く訴えかけてくる気がします。
「怖くねえぞ、生きてるヤツはみんな強えんだ!」
彼の言葉が突き刺さりますね。
情熱を感じますね。
自分も頑張らないと!と思わせてくれた宮本に感謝です。
ふたりの未来に幸あれ。
最後まで読んでいただき、ありがとうございました。