サーホー
皆さんは映画「バーフバリ」を観たことがありますか?
インド映画の金字塔といってもいいくらいのヒットになった伝説の作品です。
良かったですよねえ、あの歴史超大作を観ているかのようなスケールの大きさ。
本当にあんな歴史上の人物がいてもおかしくないくらいの王様でした。
そんな「バーフバリ」の制作会社が、これまた主演を務めたプラバースを迎え、今度は近未来都市で起こるクライム・アクションを描くというじゃありませんか。
「バーフバリ」にハマった僕としてはもう楽しみすぎて仕方がないくらいだったので、待ちに待ったという感じでしょうか。
インド映画って面白いんですよね、個人的に大好きなんです。
なんか力がみなぎっているというか、作品に情熱たくさん詰まっているというか。
他が薄いとかってわけではありませんよ。
語彙力なくてすみませんw
とにかく楽しみにしていた作品だったので早速鑑賞してまいりました。
よろしければお付き合いくださいませ。
映画「サーホー」を観た感想
とにかくすごいの一言!
息をつく間もないテンポの良さで、次々と起こる問題に立ち向かって行くサーホーにシビれる!!
まさに予測不能、驚きっぱなしの怒号の展開が織りなす超絶クライムアクションエンターテイメント映画でありました。
以下ネタバレがあります。
すべてはサーホーの思うがままに
画像はすべて公式HPより引用。
伝説の捜査官として市警と協力して窃盗事件の捜査にあたるアショークが、実は裏組織のロイ・グループと深い関わりがあったことを、そしてその捜査官という肩書さえもうまく利用されていたという事実に鳥肌モノの衝撃。
これでもかというテンポの良さで、次々と謎が明かされていくさまに「なるほどそういうことか!」の連続。
恋愛要素も美しいミュージカルにのせてしっかりと抑えつつ、ド派手なアクションシーンの数々にテンションが上がりっぱなし。
サーホー(万歳)の如く、すべてを観終わった後の開放感がハンパない、まさに超大作にふさわしい素晴らしいショータイムでした!
冒頭から矢継ぎ早に展開される事件の概要がこの作品のスピード感を物語っていたというか、とにかくテンポが早いんですね。
それでいて情報量がものすごく多い。
ちょっとでも気を抜くと、瞬く間に置いていかれていってしまうくらいの展開の早さに戸惑いつつも、必死についていかなければなりません。
最初は街の窃盗事件を追っていたのですが、その窃盗団が狙っているのがどうやら裏組織ロイ・グループの重要アイテムである「ブラックボックス」であることがわかります。
窃盗団より先に手に入れることができれば、ロイ・グループの方も追い詰めることができると市警側も躍起になって追いかけます。
その捜査を担当するのが伝説の捜査官と言われるアショークなんですが、この男がまあ規格外でして。
ゴロつき共のアジトに乗り込んで行くシーンでは、次々に襲いかかってくる敵たちを、いとも簡単にバッタバッタとなぎ倒していく無双ぶりを発揮します。
この無双的な強さは最後まで変わらずなんですが、とにかく敵を圧倒していくのが観ていて気持ちがいい。
そしてついに「ブラックボックス」を狙う窃盗グループと相見える形になるのですが、ここでも超絶驚きの展開が待っています。
追っていた窃盗グループのボスが実は警察側の潜入捜査官アショークだったのです!
「え!どういうこと?」と思っている次の瞬間には、「ブラックボックス」を手に入れた元アショーク。
そう、すべては彼が仕組んだシナリオでまわりは彼に騙されていたのです。
彼の本当の名はサーホー、彼はひとことこう言います。
「さあ、ショータイムの始まりだ」
そこからサーホーという映画タイトルがどーーーん!!ここまで1時間くらいでしょうか。
「おおおーーー!ここから本編始まるのか?なんて長い前振りなんだ」と鳥肌モノです。
以前「ヒメアノ〜ル」という作品がこういう感じの演出でその時もおおおーー!となった記憶があるのですが、今回も同じ反応しちゃいましたねw
窃盗団の一件は片付き、今度はロイ・グループでの後継者争いによる内部抗争的な展開になっていきます。
トップのロイが暗殺されて以来、今までN0.2であったデーヴラージが幅を効かせるのかと思いきや、突如現れたロイの息子ヴィシュワクのせいでそうはいかない状況に。
実はロイの暗殺を企てたのが何を隠そうその座を狙ったデーブラージなのですが、息子のヴィシュワクがそうはいくかと主導権を握らせません。
そこで重要になってくるのが資産を手に入れるカギである「ブラックボックス」。
必然的に所持しているサーホーが狙われることとなります。
愛する人アムリタと束の間の休息を楽しんでいるサーホーのもとに追手が迫ります。
デーヴラージの一味にいきなり襲撃にあったサーホーは、アムリタを人質にとられてしまい仕方なくデーヴラージの言いなりに。
サーホーを使って有利に立った彼はヴィシュワクに勝ち誇りますが、実は彼の方がアムリタを助けるのを条件としてサーホーと手を組んでいたのです。
そして物語はクライマックスに向けて一気に加速していきます。
アムリタの育った村を焼き払ったこと、彼の息がかかった市警の署長や法律顧問のカルキの存在が明らかになり、すべての黒幕がデーヴラージだったことが明かされます。
ここまではまだ想像できたことではありますが、最後の種明かしにまたまたビックリ。
ロイの息子としてやってきたヴィシュワクが実は替え玉であり、本物のロイの息子はなんとサーホーだったのです。
ロイが暗殺される直前、電話で話していた相手こそがサーホーでした。
これまでの抗争に嫌気が差していたロイは、組織をクリーンなものにしようと合法的な事業を展開しようとしていて、後継者としてサーホーを迎え入れるはずだったんですね。
そんな中での暗殺にサーホーの怒りは爆発します。
父親が受けた苦しみをデーヴラージにもあじあわせる、すべてはサーホーが仕組んだ復讐劇だったんですね。
見事デーヴラージを討ち果たしたサーホーは組織のトップとしてロイの意思を継ぎ、クリーンな事業を展開していくことになります。
最愛のひとアムリタを迎えて。
まるで世界はサーホーを中心に回っているかのような、彼の手の中で転がされているかのような影響力で周りを巻き込んで行くさまは「バーフバリ」で観た王の資質に似ているところがあるのではないでしょうか・
強烈なカリスマ性を表現するのに、これほどの役者さんはなかなかいないと思います。
プラバースさんの最新作として注目されていましたが、またもやこの方の存在感にやられた感じですね。
そりゃ世界的に評価されてもおかしくないですよね。
圧倒的な映像の破壊力に釘付け!
予測不可能な驚きの連続なストーリーを充分に堪能させてもらいましたが、もう一つの見どころであるアクションシーンもこれまたすごかったんですよね。
痛さが伝わってくるような肉弾戦は「バーフバリ」からおなじみですが、今回の舞台は近未来都市ということで、アクロバティックな銃撃戦やド派手なバイク・カーアクションも楽しめますし、極め付けは空中戦まで観ることができちゃいますw
ひとつひとつが迫力があるのはもちろんですが、今回は「バーフバリ 王の凱旋」の視覚効果チームで陣頭指揮を執ったカマル・カンナンが視覚効果監修を担当しているので「バーフバリ」を好きになった方は絶対楽しめます。
クライマックスのアクションシーンでは「Mr.&Mrs.スミス」「トランスフォーマー」シリーズなどを手掛けた一流スタントコーディネーターのケニー・ベイツが手掛けていることもあり、ハリウッドの映像に負けないくらいの派手な演出になっているのにも注目です。
特にジェットマンを使った空中戦に至っては、もう別次元というか完全にSFと化していましたね。
僕は普段アクション映画を観ないのでわかりませんが、「アベンジャーズ」とかっぽいんですかね?w
あとはサーホーが1人スカイダイビングをするシーンがあるんですけど、なぜかパラシュートを投げ捨て空中でキャッチして背負ってから開くという超人っぷりには思わず「最初から背負っとけよ」とツッコんでしまいましたw
そしてインド映画といえばお馴染みのミュージカル。
今回もたくさん用意されていましたが、こちらも豪華な映像となっていました。
まるで大物ラッパーのMVかのような、大勢の女性に囲まれて雄大な景色の中で歌って踊るみたいな感じなんですが全然違和感がないんですよね。
プラバースさんのキャラクターが映像に負けてないのでしょう。
そしてアムリタとの恋の発展にこのミュージカルを合わせてたのもよかったですね。
2人の心情なんかもこのシーンで伝わってきましたし、アムリタ役のシュラッダー・カプールさんも美しかった。
インド映画の女優さんに不思議なキレイさを感じるのは僕だけでしょうか。
お互いのマウントの取り合いにお腹いっぱいなところも
初めから終わりまで息もつかせぬ展開に169分という長い上映時間にもかかわらず、あっという間に駆け抜けてしまったような錯覚に陥りそうなくらいすべてが楽しめた反面、あまりの情報量の多さに物語についていくのがやっとだったという思いも若干残りました。
本当に油断していると置いていかれてしまうのでひと時も気が抜けない状況です。
なので観終わったあとはどっと疲れた気分になりましたね。
それだけてんこ盛りな内容だったので、一度と言わず二度三度と観てみて、その度に新たな発見が見つかるかもしれませんね。
そういう意味では何度も楽しめる作品なのかもしれません。
逆にもう少しじっくり観たいなあという方には、このスピード感は辛いものに写ってしまいかねません。
特に物語の終盤になると、今までの謎がどんどん明かされていくのと同時に、各キャラクターたちが「こんなこともあろうかと」的な感じで相手の逆手をとって優位に立つという展開の応酬になっていくんですね。
最初の方は純粋に楽しめていたのですが、あまりに何度もこういう展開が続くとクドくなってしまうというか、「どうせまた奥の手隠してるんだろ」的な思考に見ていてなってきてしまうんですよね。
テンポよく進むがために余計そう感じさせてしまうのかもしれません。
以前観た作品で品川祐監督の「サンブンノイチ」なんかまさにそんな感じの物語の展開でしたね。
好きなひとにはたまらないでしょうけど、この辺りは賛否が別れそうなところだなと思いました。
映画「サーホー」を評価!
はまはま的評価 ⭐️⭐️⭐️⭐️⭐️⭐️⭐️⭐️ 8/10
文句なしの面白さ!
テンポの良さと迫力ある映像に、2転3転する思いも寄らないストーリーに大興奮の展開でした。
終わりに・・・
今回の作品はやたらと「バーフバリ」を引き合いに出しているせいか、それと比べられてしまって海外ではあまり評価が良くないと言われています。
確かに「バーフバリ」はあれだけヒットしましたし、同じ制作会社ですから期待値も上がってしまうのも仕方ないと思います。
でもそんなことを抜きにしてとにかくすごく楽しめましたし、あらためてインド映画のクオリティの高さには感動させられました。
ぶっちゃけそんじょそこらのハリウッド作品より全然面白いですよ。
本当にパワーあふれる魅力的な映像、物語、キャラクターで、細かいことなんか気にならない仕上がりだった思います。
理屈抜きで楽しめる超大作アクションエンターテインメントでございました。
またひとつ素敵な作品に出会うことができました。
最後まで読んでいただき、ありがとうございました!