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新聞記者

新聞記者の映画をネタバレありの感想で評価! ラストの松坂桃李のごめんが忘れられない

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日本って政治と宗教はNGみたいなところありますよね。

ちょっとでも意見を言ったりすると、炎上したりひどい時は圧力がかかったりなんなんでしょうね。

映画でも社会派みたいな作品少ないんですよ。

でも海外だとそんなことはなくて、もちろんハードルは高いんだろうけどしっかり訴えかけている作品はたくさんあります。

それこそご近所さんの韓国映画なんかめっちゃ攻めた作品多いです。

映画や小説や漫画で学ぶことってすごく多いと思うんです。

僕は子どもの頃はアニメや漫画でいろいろ大切なことを学んできました。

今は映画が大好きで、社会派と呼ばれる作品もよく観ます。

ペンタゴンペーパーズ」や「スポットライト」なんかめちゃくちゃ面白かったですし、そういった作品を観ることで興味を持つことにもつながるはずです。

日本でももっと社会的な内容を描いた作品が増えて欲しいなと。

ですので今回の作品にはとても期待値が高まりました。

いったいどんな内容になっているのか気になり今回の鑑賞となりました。

よろしければお付き合いくださいませ。

新聞記者を観た感想

報道されていることが実は嘘だったら・・・

国家のための内調と真実を追い求める女性記者の静かなる戦いの物語に震えが止まらない。

権力という強大すぎる圧力が恐ろしい。

以下ネタバレがあります。

ラストの松坂桃李の表情と言葉がすべてを物語っている

今作「新聞記者」を観てまず感じたのが、情報がいかに大切なものなのかということと同時に、その情報の真実性はあまり重要ではないということが見ていてよくわかります。

要はいかにして伝える側に都合の良いようにすることが重要なわけです。

そのための情報操作ならいくらでもするのが、内閣情報調査室、通称「内調」なんです。

外務省から内調に出向してきた杉原は、このことに疑問を持ちながら毎日を過ごしていたところを、真実を追求する記者の吉岡とともに内調の闇を暴こうと奔走しますが、結局は圧力がかかって失敗に終わってしまいます。

ここで怖いのは、内調側は杉原がコソコソと動いていたことや吉岡の過去の出来事もすべて把握していて、そのうえで手を回して潰していたということです。

今までも杉原吉岡のような闇を暴こうとしていた人間がいたのかも知れない。

けれどその情報が表に出ることはなかった。

最後に杉原吉岡が交差点を挟んで対峙するシーンで、杉原吉岡に向かって言った言葉は聞き取れませんでしたが、おそらく「ごめん」と言っていたのでしょう。

その憔悴しきった表情は、完全敗北を喫した男の表情でした。

そしてすべてを諦めたかのような表情でもありました。

物語はこれで終わってしまうことも、作品に込められたメッセージなのではないかと思ってしまいます。

最後の杉原の表情が、いかに巨大なものと戦っていたのだということを思い知らされましたね。

個人ではどうにもならない深い闇がそこには広がっているんだと感じた、最も印象的なラストだったのではないでしょうか。

この作品を世に送り出せたことの意義

過去の出来事を機に日本で真実を追い求める新聞記者・吉岡と、国のためにと熱意を持ちながらも自分のやっている仕事に疑問を持ち葛藤していく若き官僚・杉原をお互いの立場や環境を対比的に描き、自分たちが戦おうとしている相手がいかに強大なものなのかを存分に見せつけるとともに、実際に起こった事件に近い問題を扱うことによって現実と強くリンクしているかのような感覚を味わい、観るものに真実を問いかけるようなメッセージを感じさせてくれるとんでもない作品でした。

僕は政治とか世の中のニュースとかには疎くて語れるものはないんですけど、その僕から見てもこの作品はめっちゃ攻めたなと感じさせてくれた作品でした。

あくまでフィクションである今作ですが、扱っている内容は明かに世間を騒がせたあのモリカケ事件を元に作っています。

内閣府が大学を新設するというタレコミが入るんですが、ここでおかしいのが内閣府が認可している点。

普通大学新設というのは文科省が認可するので、なぜ内閣府がと疑問が残ります。

そしてこの計画に携わった杉原の元上司であった神崎の自殺や、公文書が改ざんされていたなど、次々と出てくる問題。

あまりにリンクしすぎているために、正直お蔵入りになってしまってもおかしくないと思うんです。

よくぞ公開までこぎつけることができたなと。

しかもアカデミー賞まで取ってしまう快挙に誰もが驚きを隠せなかったと思います。

他にも御用作家のジャーナリストが女性をレイプした事件の裁判で不起訴になったことで、被害者の女性が実名を出して控訴したというニュースがありましたが、これも伊藤詩織さんのあの事件に酷似しています。

劇中では内調が筋書きを作り、被害者女性がハニートラップを仕掛けたように印象操作を行っていましたが、実際の伊藤さんの事件でもこういったことが行われていたのではないかと思ってしまうリアルさがありました。

そして内調が裏で操作している情報に、人々はいとも簡単に信じてしまうわけで、「メディアが言っているから」とか「みんなが言っているから」といった同調圧力にさらされることへ苦言を呈しているメッセージにも聞こえました。

実際の事件を模しているのはもちろんインパクトがありますが、一番は世の中の報道には様々な主観や根拠のない偽造、思惑などがごちゃ混ぜにされて発信されているということをしっかり認識して、自分を信じて周りに惑わされないことが大事なんだということを学ぶべき作品なんじゃないかなと感じました。

役者陣の芝居が素晴らしい

作品内容はもちろん、役者さんたちの芝居も見応えがありました。

まずは吉岡を演じたシム・ウンギョンさん。

僕は「サニー 永遠の仲間たち」が大好きな映画だったので、この方がキャストに入っているのを知った時はすごく驚きました。

正直日本語はカタコト気味でしたが、それを補う細かい表情の変化がすごかった。

普段はひょうひょうとした感じなのに、ふとした瞬間の鬼気迫る表情がそれだけで成立してしまっているというか。

わざわざ日本人の役にしなくても良かったんじゃないかと思いましたが、あまりセリフが多くないぶん表現の幅が集中されていたという感じです。

そしてもう一人の主役である松坂桃李さんも素晴らしかったですね。

最初はごくごく普通のスマートな官僚って感じだったのに、次々と起こる問題に直面していったときの細かい心情の変化がお芝居でわかるんですよね。

苦悩や葛藤、後悔や絶望などの表情がすごく分かりやすかったです。

ラストシーンのごめんにはいろいろな感情が含まれていて、観ていて言葉が出ませんでした。

松坂さんは「狐狼の血」や「娼年」あたりから役者として成熟してきたというか、実力派俳優の仲間入りを果たしたのではないでしょうか。

主演のお二人はアカデミー賞最優秀主演男優・女優賞を獲得したのもすごい。

他にも杉原の上司である多田を演じた田中哲司さんは良かったですねえ。

内調という機関の得体のしれなさや恐ろしさのようなものを、この方を通して知ることができましたし、この内調そのものと言ってもいいくらいの圧倒的な冷たさを放っていました。

無感情なのに静かな感情が伝わってくるようでホントに恐ろしい存在でした。

あとは杉原の妻・奈津美を演じた本田翼さんも素晴らしかった。

奈津美は夫の仕事のことに一切口を出さないんですよね。

ホントに彼のことを信用していて信じて疑わない。

彼がどんなに忙しくしていても、優しく暖かく包み込むように寄り添っている感じが素敵でした。

だからこそのラストで杉原が権力に屈してしまったあとの「ごめん」に説得力が生まれた気がします。

この奥さんとお子さんは守らないとってなってしまうのも仕方ないと思いました。

東都新聞社の編集長・陣野を演じた北村有起哉さんは、最初こそ上からの圧力に屈しない吉岡と対立するような感じでしたが、いざスクープを書くとなったらしっかりと編集長としての仕事をきっちりこなし、吉岡のサポートにまわって力になってくれたのが迷える中間管理職の名脇役といえる活躍ぶりでした。

フィクションゆえのちょっとした違和感

https://twitter.com/shimbunkisha/status/1144429069347381248

作品としてすごく攻めているし、よくぞここまで作り上げたといえる名作になったと思いますが、観ていて少し気になったところもありました。

これは事実を模してはいますが、あくまでフィクションなのでおそらくその部分で感じた違和感です。

それは大学を新設する計画の真の理由である、生物兵器を研究するための軍事目的であったというところです。

確かにとんでもない裏であるし、ことの大きさが伝わる内容ですが、さすがにリアリティに欠けるというか一気にSFみたいなノリになってしまった感がありました。

この辺の件は突っ込みどころ満載で、こんなに大きな情報なのに個人宅に保管してあるという緩さ。

簡単に真相にたどり着けてしまったわけです。

そして神崎の後任の都築の部屋の資料を持ち出そうと彼の会社に出向くのですが、アポがあるからと言って特に問題なく部屋の中に入れてしまうんですよね。

これは会社のセキュリティとしてどうなのと思ってしまいます。

肝心の資料も普通の引き出しの中に入っている甘さ。

そしてどうやって会社から脱出したのか。

ここの部分だけなんか適当すぎな感じがしてしまいました。

ストーリーの真相が明らかになる重要なところなので、もう少ししっかり描いて欲しかったところですね。

映画「新聞記者」を評価!

はまはま的評価      ⭐️⭐️⭐️⭐️⭐️⭐️⭐️⭐️     8/10   

巨大な権力と戦う新聞記者とエリート官僚の、内と外のそれぞれの戦いに信念を貫くカッコ良さがあった。

あくまでフィクションなのに、本当のことのように思えてくる怖さと、真実の在り方について考えさせられました。

終わりに・・・

観る前はもっと政治政治しているのかなと思っていましたが、実際はそんなことはなくて、国の安定と平和を保つためと言いながら、実は官邸しか守っていない内調の徹底した情報操作によって、人間の尊厳までをも奪ってしまっていることに対して、本当のことをしっかりと世間に伝えるべきだと駆けずり回る女性記者の奮闘と、自分の仕事の内容に疑念を抱き事件に関与した元上司が死んだ本当の理由を知りたくて協力する官僚の男の話なんですね。

なので難しいことは一切なく、純粋に強大な権力と戦う2人のドラマなんです

二人が行き着く結末は正しかったのか、真実を明かすことができたのかはわかりませんが、これを観たひとりひとりが社会の出来事に関心を持って、自分を信じて生きていってほしいですね。

こんな作品がもっと増えてくれることを願います。

素晴らしい作品でした。

最後まで読んでいただきありがとうございました。

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    はまはま
    初めまして。 はまはまと申します。 好きな映画やスポーツやエンタメなどについて書くブログを始めました。 語彙力がないヘタクソな文章ではありますが、いろいろと書いていこうと思います。 よろしくお願いします。