ザ・ファブル 殺さない殺し屋
人気作の待望の続編ということでいよいよ公開になるザ・ファブル 殺さない殺し屋。
前作を観た感じはアクションは見応えがあったけど、まあそれ以外は”可もなく不可もなく”くらいの印象でした。
ギャグもスベってる感満載だったし、役者さんたちの熱演に助けられているって感じでした。
なので正直今回の続編は観ようか迷ったところもあったんですが、1作目観ちゃったから次も観るかくらいの軽い気持ちで見ようかと思います。
一応注目しておきたかったのが、平手友梨奈さんが出演しているということ。
アイドル時代から好きだったので、本格的に女優として活動し始めた彼女の作品を結構チェックしてたりしますw
今作は、原作で一番泣けるエピソードと言われているお話だそうで、ストーリー重視の自分としては「頼むぞ〜」という気持ちです。
そんなわけで早速鑑賞して参りました。
よろしければお付き合いくださいませ。
ザ・ファブル 殺さない殺し屋を観た感想
前作とはケタ違いに面白くなっている!
笑いを極力抑えドラマ部分に力を入れたことでストーリーへの没入感が増した。
パワーアップしたアクションも加わって、抜群のエンタメ感が味わえる作品に仕上がった。
以下ネタバレがあります。
- 前作よりパワーアップしたアクション
- 没入感のあるストーリー
- 魅力的な悪役側のキャラクター
平手友梨奈や堤真一ら悪役側の役者陣が素晴らしい
ストーリーがものすごく良かった理由のひとつに悪役側のキャラクターの魅力にあるのは間違いないでしょう。
そのキャラクターを演じる役者さんがホントに素晴らしかった。
まずは宇津帆を演じた堤真一さん。
仮面を被ったクズとはこの男のことだと言わんばかりに、サイコっぷりを発揮していたキャラクターですが、堤さんの演技がぴったりハマっているんですよね。
表向きはNPO団体の代表なので、立派な大人というイメージを見事に演じていましたし、本性を表したあとの頭にくる不快感を感じさせる二面性もバッチリと使い分けているのはさすがでした。
ヒナコに対する性の捌け口的扱いの時のいやらしい感じも吐き気がするほど気持ちが悪い。
とにかく宇津帆のクズさを120%引き出していたと思います。
「望み」のときのような責任ある親や、「砕け散るところを見せてあげる」のような完全サイコパスに、「一度死んでみた」のようなコメディと、どんな役をやらせても完全にその人になりきってしまう演技はすごいとしか言いようがないですね。
そして佐羽ヒナコを演じた平手友梨奈さんがまた良かった。
車イス少女という難しいどころをちゃんと体現できていたし、ヒナコの成長がそのまま平手さんの成長に重なって見えてきてなんだか感動してしまいました。
「さんかく窓の外側は夜」でもでしたが、彼女はちょっと影があったり、訳ありな役どころが似合いますよね。
「響-HIBIKI-」でのブレない芯を持っている強い女性なんかもそうですけど、平手さん自身の境遇とリンクしている部分もあるんじゃないかって思います。
そういう意味では、イメージとは真逆な元気ハツラツで明るいキャラクターの役とかも見てみたいですね。
デビュー当時はそっち寄りな感じでしたもんね。
はい、ただのファンですw
そしてもうひとり良かったのが鈴木。
凄腕の殺し屋という設定ですが、ヨウコにあっさりやられてしまう悲しい役どころを安藤政信さんが演じていました。
イケメンでかっこいいんだけど、本当の凄腕のプロには歯が立たない感じがしっくりきていました。
終盤ではヒナコを想いやる優しい一面も見えてきて、なんだ鈴木いいやつじゃん!て好きになっちゃいましたねw
最終的にはファブルと協力してヒナコを救う展開に、安藤さんの優しそうな雰囲気が鈴木というキャラクターと交わった感じがしてすごく良かったです。
あとパンクブーブー黒瀬さん演じる井崎の、お調子者な小物感も素晴らしかった。(褒めてますw)
殺さない殺し屋としての圧巻のアクションシーン
ファブルの一番の見どころといえば、佐藤アキラが戦うアクションシーンでしょう。
主演の岡田准一さんは、ファブルにおけるアクションシーンの構成や他のキャストさんの指導も行っており、常に現場に張り付いて作品作りに関わっていたんだとか。
岡田さん自身が格闘技に精通しており、インストラクターの資格まで取得しているほどで、アクションには誰よりもこだわりを持って取り組んでいる方なんですね。
その成果が今作でのアクションにも現れていて、前作を遥かに上回るクオリティになっています。
冒頭で立体駐車場でのカーアクションがあるんですけど、これがいきなりすごいんです。
当然ご本人がされているんですが、車が走っているなかで屋根からドアの外側にぶら下がって、そのまま運転席に移動したり、ぶら下がったまま対向車を飛び越えたりと観ていてハラハラしてしまう展開の連続。
しかも最初にターゲットである運転手を殺してしまっているので、岡田さん自身がぶら下がっている窓の外から運転するという無茶苦茶ハードな作業っぷり。
最後は車内で気絶しているヒナコを抱えて飛び降り電線をクッションにして着地するという離れ業に思わずおお〜と拍手。
車は柵を飛び越えて落下し大破するド派手なオープニングに、今作にかける本気度が伝わってきました。
そして最大の見せ場である、団地での戦闘シーンは圧巻でした。
宇津帆が丹念に練った作戦で、一般市民が普通に住んでいる団地で戦うことになるんですが、この団地が工事中で窓側に足場が組まれているんですね。
敵も工事現場の職人さんに扮してファブルと戦うことに。
一般の人が住んでいるので、バレないように目を盗んで戦う両者にクスッとしてしまいましたが、団地全体を使ってうまいこと立ち回ります。
宇津帆の部屋に仕掛けられていた、扉を開けると爆発する仕掛けにあえて乗ってみせ、下の階に飛び降りかと思えば通路で敵を次々に薙ぎ倒していき、建物の狭い隙間で相手ともつれ合いながら落下。
絶妙なタイミングで爆発をかわすシーンはスローモーションになっており、爆発に巻き込まれそうな緊張感を煽っており見応え抜群です。
あともうひとつ見どころなのが、足場での戦闘です。
風船を取ろうとして足場の端っこまで出てきてしまった少女を助けるというミッション付きで始まるこのシーン。
隣の建物にいるスナイパーの狙い撃ちを交わしつつ、銃で足場を壊して敵を一斉に下へ落とし、どんどん崩れていく足場をダッシュで走り抜けていくファブル。
ジブリのアニメに出てきそうな描写を実際にやってしまうのだから、すごいとしか言いようがない岡田准一さんの圧巻のアクションです。
最後はファブルに怯えて泣いてしまう少女に、ジャッカルの「コンプリート!」のギャグを披露してくれる余裕っぷりに笑わせられました。
ここのパートを見ていて思ったのが、エレベーターの踊り場や足場を使って部屋を行き来しながら相手を殺さないように一瞬で倒していくファブルの戦い方が、「るろうに剣心」の殺さずを貫く緋村剣心を演じる佐藤健さんと被る部分があって勝手にテンションを上げていた自分がいましたw
どちらも1人対大勢の図式で流れるように敵を倒していくアクションなので、強すぎる主人公だとこういう戦い方になっていくのかなあと思ったり。
改めて岡田准一さんも佐藤健さんも完璧なアクションを魅せてくれる、日本を代表する役者さんなんだなあと感じた場面でした。
しっかりと人間ドラマを見せることでストーリーに深みが出た
ザ・ファブルはアクションシーンは凄かったけど、それ以外は特にいいところが見当たらなかった。
前作を観たときは、正直そんな感じの印象しかありませんでした。
ファブルという人物がいかにすごい殺し屋なのかという紹介編のような内容になってしまっていたところがあって、ギャグテイストをおりまぜていたことも逆にスベってしまっていたし、安田顕さんや柳楽優弥さんとか役者さんはすごくいいのにもったいないなと感じた1作目だったんですよね。
ところが今作はそんなことはまったく感じさせないくらいに面白かった。
ファブルのことが一通りわかったところで、4年前に起きた殺しの現場の因縁を持ってくることで、一気に物語に引き込むことができたんじゃないかと。
その時に助けられなかったヒナコとの偶然の出会いから、宇津帆との因縁が明らかになっていく過程や、ファブルの昔の失敗に対する罪悪感や葛藤を見ることができたのも、強すぎる完璧な主人公に感情移入しやすくなっていてよかったですね。
笑いの部分を極力抑えて、シリアスな部分をしっかり見せてくれたからストーリーの没入感が増しました。
また今回のヒロインであるヒナコの成長も物語の見どころのひとつでした。
4年前の出来事で車イス生活になってしまったヒナコはどこか諦めているような、でも僅かな望みは捨てきれていない不安定な感じがしました。
公園で立ち上がるためのリハビリをしていたところでファブルと出会うんですが、最初は不審者なんじゃないかと鬱陶しがるんです。
だけど「頑張っているところを邪魔しちゃいけないかと思って」とか「時間はかかるが歩けるようになる」とまっすぐなファブルの言葉が、いつしか彼女の心の支えのような希望に変わっていくんですね。
依頼されたチラシを届けにきたファブルにお茶を出すヒナコが、猫舌すぎるファブルを見て微笑む姿に、普段感情を表に出さない娘がふとした瞬間に見せる表情に、見ているこちらも笑顔にさせられました。
「イメージが大事だ。血管の血の流れ、神経から筋肉へ重心移動まで」
やがて宇津帆の真実を知ったヒナコが、怒りの感情ではあったにせよ立ち上がる奇跡を見せたのは、ファブルの言葉が彼女の中で大切なものになっていたからでしょう。
「イメージするよ。祈りじゃなくイメージ」
最後にファブルに言った言葉と後に残された手紙には、自分が立って歩いていることへの決意と、いつかまた出会えることをイメージしているヒナコの姿がありました。
宇津帆との別れの際に手を合わせる優しさも見せてくれたところも、彼女の成長が感じられて感動しましたね。
ファブルと宇津帆とヒナコの因縁が交錯する物語が、前作とは比べられないくらいストーリーに深みや没入感を出せていたんじゃないかと思います。
ザ・ファブル 殺さない殺し屋のここが良かった悪かった
今作のよかったところはなんと言ってもヨウコが大活躍していたこと。
前作ではファブルにお荷物と言われ、特に目立った活躍もないままバディとは呼べないお飾りなパートナーでしたが、今作は彼女単体での戦闘シーンが熱かった。
鈴木がヨウコの家に乗り込んできた際の、肝の座った落ち着き具合と余裕な表情が、彼女もまた修羅場をくぐってきたプロなんだと思えましたし、「本当にそれでいいの?」「ハンデをあげているの」と終始、鈴木を挑発していたのもいい緊張感を生んでいました。
そして銃の早撃ちならぬ早取りからの、一瞬で鈴木を締め落としてしまった最小限のアクションがカッコ良かったです。
団地での戦闘ではファブルの援護として、スナイパーを倒していましたし、ファブルのツッコミ役としても適度にアクセントになっていたと思います。
あとは佐藤二朗さんと山本美月さんのオクトパスでのやり取りも良かったですね。
いわゆるお笑いパートなんですが、物語には極力関わらない完全に別パート的な扱いだったのが、物語を邪魔しなくて箸休め的な役割を果たしていたのかなと。
しっかり笑える作りにはなっていたので、ちょうどいい塩梅になってましたね。
逆にジャッカルのドラマパートはスベってたかなあw
ファブルのセンスがズレているという前作の悪い笑いの部分が、そのまま引き継がれてしまったというか。
まあ、これは設定ありきのものなので仕方がないのかもしれません。
結果的に団地で少女を助けたときに、コンプリート!で終われたので良しとしましょうw
あとはちょっと上映時間が長いかもしれませんね。
それこそギャグパートは削っても問題はなかったと思うので、もっと短くはできたと思います。
ただテンポの良いアクションや人間ドラマを見せるストーリーだったので、僕は気にならなかったのですが、人によっては長く感じるかもしれません。
ザ・ファブル 殺さない殺し屋を評価!
はまはま的評価 ⭐️⭐️⭐️⭐️⭐️⭐️⭐️⭐️ 8/10
アクション、ストーリー、キャラクター。
どれをとっても前作を大きく上回るクオリティでめちゃくちゃ面白かった!
ギャグも今回はスベってなくて、ややウケくらいでよかったですね。
2作目で面白くなる作品なんてなかなか出会えないので、シリーズものとしてものすごく良いことだと思いました。
そしてやっぱりてちちゃんの存在感がすごくてとても良かったw
終わりに・・・
1作目より2作目の方が面白くなるパターンて結構珍しいことなんですよね。
大体の名作と呼ばれている作品は2作目にコケていますので。
そういう意味では、シリーズを重ねるごとに面白くなる可能性を秘めている作品なのかもしれません。
当然3作目も構想にあるでしょうから、僕もすごく楽しみな作品のひとつになりました。
派手なアクションができる邦画はなかなかないので、貴重なアクション大作として今後もシリーズ化していってほしいですね。
最後まで読んでいただき、ありがとうございました。