映像研には手を出すな!
漫画原作の実写化ってとても多いですよね。
ここでよく議題に上がるのが、漫画の実写化はアリかなしかということですがみなさんはどっちでしょうか。
僕の意見はおおむねありなんですが「作品による」ですw
そりゃそうだと言われてしまえばそれまでなんですが、実際大事なところだと思いませんか。
やっぱり好きな作品って思い入れがありますし、イメージを壊して欲しくないっていうのが大半な意見なんではないでしょうか。
成功例で言うと「るろうに剣心」や「ちはやふる」なんかは原作のイメージを壊すところなく見事に描かれているなと思います。
最近の作品では「今日から俺は!」も原作の雰囲気に加えさらにギャグテイストを強化することでオリジナル感を演出できていたのではないでしょうか。
実写化して良かったものもありますが、数ある作品の大半が原作のイメージと違うということで納得のいかない出来になってしまっている感じがあります。
そもそも二次元を三次元にする時点で難しいことなのは当たり前なんですが、それにしても違うなーと思う作品が多い。
だから原作ものって相当気を使って作らないとダメだと思います。
今回の作品は「絶対に手を出してはいけない原作」と言われている、超絶にハードルが上がりに上がってしまっているなんとも厄介な代物のようでしてw
僕は原作を読んでいないので、純粋に作品自体を楽しめる状態ですので割と気楽に観られそうですw
じゃあなんでこの作品をみようと思ったのかというと、乃木坂46のメンバーが主演だからという、これはこれでまたアイドル映画という別の視点で語られる要素が出てきてしまう案件ですね。
原作モノとして、アイドル映画として、いろいろと語りがいがありそうな実写映画「映像研には手を出すな!」という作品を楽しみたいと思います。
そんなわけで早速鑑賞してまいりました。
よろしければお付き合いくださいませ。
実写映画「映像研には手を出すな!」を観た感想
非常に独特な世界観の中でリアルとファンタジーが融合する「最強の世界」がそこにはあった!
主役の3人が素晴らしく輝いていて、笑いあり、ちょこっとのほろり加減がちょうどいい感じの青春学園ドラマでした。
以下ネタバレがあります。
映像研には手を出すな!の実写映画はひどい?作品を観た視聴者の声
こうしてみてみると賛否両論と言った感じですかね。
やや否の意見が多いかなくらいの印象です。
アニメの評価がものすごく高くて、そこのレベルを求める人にはまったく合わないようですね。
賛の意見を見てみると、乃木坂の3人が可愛いというものや、実写は実写でそんな表現方法があるんだという感心があったりします。
逆に乃木坂の3人が可愛すぎて違和感なんて声もw
良くも悪くもアイドル映画としての評価が、作品自体の評価にも繋がっているのではないでしょうか。
さて、この先からは作品を観た感想を書かせていただいております。
実写とアニメーションがうまく融合する独特な設定での学園ドラマ
余計な部活動を廃部にしたい生徒会と、自身の部活を存続させたい映像研による、生き残りをかけたアニメ製作活動を、途中さまざまな問題に立ち向かいながら面白おかしく繰り広げられる学園生活に、たくさんの笑いと少しの涙が、ちょうどいい具合に青春を感じることができる素晴らしい作品でした。
まずは生徒会長による会議の模様が、テレビドラマの復習として見ることができる作りになっていて、映画新規の方でもひと通りのあらすじを知ることができるようになっていたのが親切でした。
僕は原作もドラマも未見だったのですごくありがたかったですねw
ただ少し長かったかなあと感じる尺ではあったので、復習パートが終わってからのオープニングタイトルが出てきたときは「やっと始まるー。」と感じてしまいました。
物語は429の部活と81の倶楽部・同好会がひしめく芝浜高校での部活動の統廃合を推し進めていく大・生徒会が、実際に数ある部活動をまとめる会議をしていくんですが、ここでまとめられる部活っていうのがすごく似たような部活なんですよね。
声帯模写部や身代わり部とか、「あなた達は物真似をして似ていれば喜びを感じる方達なんですよね」と物真似部として統合されてしまうところなんかすごく面白くてw
それに対する部員のひとりが「カレー味をすべてカレーと言っているようなモノだ」と反論するところとか、みんなそれぞれこだわりを持って活動しているのになんだかかわいそうなんだけど、ヘリクツを言い合っているみたいでなんだか面白くて笑わずにはいられませんでした。
映像研もアニメ製作をすることから、アニメ研究会と一緒にされそうになるんですが、ロボット研とコラボして作品を作るということで難を逃れるわけです。
そしてお互いの制作の案をプレゼンし合うんですけど、ここでもお互いのこだわりや主張が激しくぶつかり合うんですよね。
ロボットの定義について、映像研はあくまでリアルにこだわるので巨大ロボットは現実的じゃないとか、二足歩行ロボットは物理的に無理だとかもっともなことを言うんです。
それに対してロボット研の部員は、それは承知の上だけどロボットはロマンなんだと非現実的な設定を大事にしている。
お互いの主張は平行線のままかと思いきや、最終的にはロボットへの愛情という気持ちが劇的な和解に至るという結末に金森の「だからクリエイターは面倒くさい」というセリフに思わず爆笑してしまいました。
そんな面倒くさいクリエイターである監督のみどりの頭の中にはすごく細かい作品の設定が詰め込まれていて、同じくアニメーターのツバメとアイデアを出し合っているシーンでは、アニメーションでそのフォルムやイメージを再現していて、まるで目の前に描いたものが現れるかのような演出がとても分かりやすくて、みどりの頭の中にある様々な設定の想像力の豊かさがうまく出ているなと思いました。
実際のアニメーションのクオリティも高くて全く違和感がなかったのには、観ていて心地良かったですね。
邦画って予算が少ない作品が多いから、こういうところで残念な映像とかだと冷めてしまったりするので、それがなかったのはすごく力を入れているなと感じました。
あとはこの作品、学園モノとしてもすごく楽しめました。
映像研と敵対関係である大・生徒会による部活統廃合の活動も、しっかりと組織化されている中での威圧感というか権力的な感じがよく出ていたし、生徒会のメンバーもそれぞれキャラが出来上がっていましたね。
特にさかき・ソワンデ役を演じていたグレイス・エマさんが影の実力者っていう雰囲気がめちゃくちゃあって存在感バッチリでした。
てかこの方14歳なんですね、すごいなあ。
貫禄ありまくりですよ。今後もいろいろな役を演じる彼女を見てみたいと思いました。
生徒会長の小西桜子さんは、ちょっと抜けている感じだけど職務に忠実なところがこういうトップの人いるよなあって思わせてくれたし、斬り込み隊長の福本莉子さんは切り込み隊長っぷりが妙にハマっていて、ちょっとやんちゃな役も合うんだなあと意外でした。
ちなみに浜辺美波ちゃんの出番が結構あって個人的に嬉しかったですw
主役の3人のキラキラ感が作品をより盛り上げている
今作の主人公3人は乃木坂46のメンバーなわけですが、アイドルが主役をやると何かと批判的な意見があったりするものですが、僕はこの3人が主役ですごく良かったと思います。
とにかく作品のなかの3人がすごく輝いているんですよね。
そしてなによりとても可愛いw
英勉監督は女の子をすごく可愛く撮るのが上手いですよね。
適度にデフォルメされた演技なんかも可愛さがより増していましたし、喜怒哀楽の表情がとても多く感じます。
みどり役の斎藤飛鳥さんがまさに当てはまるんですけど、コロコロ表情や感情が変わるのが見ていてすごく可愛いんですよね。
そしてあの広島弁は反則ですw
ツバメ役の山下美月さんはキレイなモデルさんの役どころがすごく合ってましたし、というか実際雑誌のモデルやられているからピッタリなんですけどねw
内に秘めた情熱やこだわりがあるツバメの役どころが山下美月さんのビジュアルとうまくハマっていたし、ときにズバッと核心をついてしまうところの空気感も良かったです。
金森役の梅澤美波さんはふたりのまとめ役のような立ち位置だったんですけど、普段は冷静なのに急に激しくふたりをツッコむ姿や、大声を上げて怒る場面も多くて感情的なったり難しい役だと思うんですけど見事に演じていました。
ふたりに感謝されて少し照れくさそうに微笑むシーンとかちょっとジーンとしちゃいましたね。
終盤みどりが人見知りなのにツバメのためにみんなの前に立って喋るところとか、最後にツバメのお母さんに「お友達?」と聞かれて「いや、仲間です」と答えるところとか、いいシーンがたくさんありました。
この3人だからこそ生まれた青春があったと思うし、逆に笑えるところもたくさんあったし、同じグループのメンバーだからの空気感とか一体感が出せていたんではないでしょうか。
アイドル映画としてもすごくよくできているし、語りがいがある作品だったと思いますね。
実写映画「映像研には手を出すな!」を評価!
はまはま的評価 ⭐️⭐️⭐️⭐️⭐️⭐️⭐️⭐️ 8/10
今作を手がけるのは英勉監督です。
僕が初めて監督の作品を観たのが、「あさひなぐ」でした。
いわゆる乃木坂46目当てですねw
なので正直内容にはそんなに期待していなかったんですが、実際観てみるとすごく面白くて。
僕の大好きな青春映画がそこにはありました。
アイドルや女優さんを可愛く撮るだけでなく、ストーリーもしっかりと見せてくれる監督さんだなという印象です。
今回の作品も乃木坂46目当てではありましたが、作品自体の素晴らしさも感じることができて非常に満足のいく作品になりました。
英勉の監督作品「賭ケグルイ 絶体絶命ロシアンルーレット」の感想記事はこちら
終わりに・・・
「絶対に手を出してはいけない原作」と言われていた今作ですが、原作未読の僕からしてみたら、「めちゃくちゃいい仕上がりになってるじゃん」と言いたいですね。
純粋に映画として楽しめましたが、原作ファンの方からするとまた違った印象になるんでしょうね。原作に忠実とか、原作を上回るオリジナリティとか原作モノが実写化された作品の評価ってさまざまだと思うんですけど、少なくともこの作品を映像化して良かったと思えるくらいの「最強の世界」がちゃんとあったんじゃないのかなと個人的に感じました。
これを機にまずは原作を読んでみようかなと思います。
そうしたらまた違って見えてくるものもあるはずなので。
2度楽しむこともできますし、原作モノの楽しみ方のひとつじゃないでしょうか。
とにかく熱量のある作品で素晴らしかったです。
最後まで読んでいただきましてありがとうございました。