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MOTHER マザー

MOTHER マザーをネタバレありの感想で評価! 実話をもとにしたクズ親と息子の歪んだ愛の物語

MOTHER マザー

僕が長澤まさみさんを好きになったのはわりと遅くて、「モテキ以降くらいですかね。

なので彼女の全盛期と言いますか、人気絶頂の頃をあまり知らないんです。

世界の中心で、愛を叫ぶ」なんかも、もちろん見たことがありません。

いわゆる清純派ではなく本格派として成熟してからの彼女が好きなわけです。

そんな彼女が、お母さん役でしかも毒っ気たっぷりの歪んだ親子関係を描いた、実際に起こった事件をベースに作られた作品だというからこれはもう観ない訳が無いということで。

僕自身もほぼ母子家庭で育ったのもあって、この手の作品はどうしても気になってしまうんですが、ベースになっている実際の事件の起きた場所が実家に近かったっていう部分もさらに興味を強めたところがあります。

長澤まさみの新たな顔を見られそうな部分と、いったいどんな親子関係から起こった事件なのかと、非常に楽しみな作品になりそうです。

そしてコロナ自粛から久々の映画館というのも待ち遠しかったw

そんなわけで早速鑑賞してまいりました。

よろしければお付き合いくださいませ。

MOTHER マザーを観た感想

初めから終わりまで不快感が続いていく辛さ。

誰がどうみてもモンスターな母親に、なぜ息子は離れようとしないのか。

親子の絆がなんなのかまったく理解ができなくてさらに不快になる。

以下ネタバレがあります。

モンスターすぎる母親に不快感MAX

定職にもつかずにその日暮らしの母親と、健気に母親の言うことを聞く息子の数年間から、やがて殺人事件を犯してしまうまでの親子の関係を、その時その時の環境のなかでどういう風に変わっていったのかを淡々と見せていく作品でした。

観ていてまず思ったのが、「この母親ほんとクソだな!」ということです。

もう終始これに尽きるんですよね。

まずこの母親は働きもせずにパチンコをしてばかり。

お金がなくなったら、親や知人からなんとかして巻きあげとうと、その手段として子どもを使うんですよね。

子どもにお金をせびらせるという、最低な行為を平気でするんですよ。

うまくいかなかったら、子どもに八つ当たり。

自分の子どもをなんだと思っているんだと言いたくなってきます。

オトコを作って何日も家を空けたまま帰ってこなかったりもして、そのあいだ息子の周平はひとりで寂しく過ごすんです。

部屋でずっとゲームをしているのですが、電気もガスも止まり真っ暗で何もできない状態のままで過ごすという、大人でも根をあげてしまうくらいな生活っぷりが描かれています。

お湯を沸かすこともできないから、カップラーメンをそのままかじりつく光景はさすがに見ていられないくらいのひどさでした。

ゲーセンで偶然知り合ったオトコのもまたひどいやつで、もう完全に輩のような立ち振る舞いで秋子周平の中に家族として入り込んできます。

嘘をついて市役所の男性職員からお金を騙し取ろうとしたり、職場のお金を盗んだりと平気で犯罪を犯すような人間なんですね。

そして秋子が妊娠したと分かった途端、「俺の子じゃない!」とブチ切れて秋子に暴力をふるいふたりのもとを去っていってしまう。

結局、お腹に子どもを宿した状態で取り残されてしまった秋子は、それでも相変わらずのその日ぐらしの生活でなにもしない。

そのくせもうどうにもならないくらいにまで追い詰められると、今度は子どもに泣きついてすがる始末。

困ったときだけ「周平しかいないんだからね」と都合のいい言葉で子どもを抱き寄せるんです。

なんて都合のいい母親なんだと。

そもそも母親という以前に、ひとりの成人した大人としてダメとしか思えません。

両親や妹はしっかりとした人なのに、長女の秋子だけこんな感じに育ってしまって、この家族にいったいなにがあったのだろうと考えてしまいますね。

この作品では、秋子がどういう風に育ってきたかは語られていないのでわかりませんが、こういうことって何か原因があるんじゃないのかなと。

それとも突然変異的な形で、こういった人が育ってしまうのか。

この作品は、少年の歩みはある程度知ることができますが、母親の方はすでに形成された状態で登場するので、母親がどうしてこんなモンスターになってしまったのかということはわかりません。

少年のことももちろん大事ですが、この母親がいかにしてここまでの母親になったのかがすごく気になりましたね。

だからこそ、この母親の姿を観ていてすごく不快に感じたし、ホントに腹が立ちました。

僕は家庭環境的にはそんなに恵まれた方ではなかったんですが、それでもしっかりと育ててもらいましたし、最低限まわりに迷惑をかけずに毎日を過ごすことができているので、母親に感謝しています。

子どもは親を選んで生まれてくることはできないから、親はちゃんと子どものことを考えてほしいですね。

ダメならダメで、子どもと一緒に成長していくということもできるかもしれませんし。

観ていて常に、「しっかりしろよ親!」と本気で言いたかったです。

親子の愛のかたち

愛のかたちなんてものは人それぞれ違っていて当たり前だし、当人たちが良ければなにも言う事はないんですけど、この家族に関してはホントに愛があったのか?と考えてしまいます。

特に不思議でならなかったのは、息子の周平があんな育てられ方をされたのに、いっこうに母親から離れようとしなかった事です。

母親の秋子は明らかに息子をぞんざいに扱っていたし、時には疎ましく、時には寂しさの穴埋め的に都合よく利用していたと思うんです。

でも息子はそんな母親の言うことに、渋々ながらもちゃんと従い寄り添っていくんですね。

子供の頃は母親以外に頼れる存在はないし仕方ない部分もありますが、それは周平が成長した16歳になっても変わらないんですよね。

しかもとの間にできた、まだ小さい妹の冬華の面倒までちゃんとみているんです。

なんならしっかりと育ってるじゃないかと言いたくなるくらいに、立派になった周平がそこにはいます。

ただ周平自体はあまり感情を見せることなく、淡々と毎日を生きているという感じがします。

そのひぐらしの生活に疲れているのか、未来に希望を見出すことができないのかはわかりませんが、表情に明るさはありません。

この頃の周平は一体どんな感情だったんですかね。

自分なりに家族と向き合って、前向きに生きていこうという気持ちも少なからずあったのかなあと思ったりもして。

その部分を一番感じたのが、児童相談所の亜矢との出会いでフリースクールに通うことになったことです。

周平が自ら勉強したい、学びたいと積極的になれた貴重な体験だったのではないでしょうか。

毎日の過酷な日常の中での唯一、自分のための時間が周平にとっての最後の生命線というか、微かな希望だったのかなあって。

しかしせっかくの大切な学びの場も、母親のせいで簡単に崩れ去ってしまいます。

数年ぶりに戻ってきた遼の借金が原因で、大事な場所を追われてしまうことに。

結局児童相談所も周平を救う事はできませんでした。

こう言った機関ってどこまで介入していいものなんですかね。

「自分で生んだ子をどうしようと親の勝手だろ!」なんて言う親からは強制的に引き離してもいいんじゃないかって思いますけどね。

周平自身がもっと、母親と離れたがっていたら堂々と踏み込んでいけたのかもしれないけど、そういうわけでもなかった。

彼は彼なりに家族に対しての愛情がしっかりとあったんでしょうね。

自分がいないと家族がダメになってしまうみたいな感情もあったのかもしれません。

わずかな希望だった学びの場を奪われてもなお家族から離れようとしない周平と、再び全てを無くして「周平しかいないんだからね」と泣きつく秋子との間にある愛はどんなものなのか、ふたりにしか分からない領域までになってしまっていて。

この関係性の結末が、息子によって殺人が行われてしまうことになるなんて、なんて悲しい親子関係なんだと思い、残念で仕方がありません。

奥平大兼の存在感が素晴らしかった

今作で役者デビューを飾った周平役の奥平大兼さん。

いきなりヘビーな役どころとなりましたが、見事に演じ切っていたと言う印象です。

長澤まさみさんと一緒に写っている、作品ポスターを見たときにすでに雰囲気があるなと思っていましたが、実際の作品をみてさらに素晴らしい存在感を放っているなと思いましたね。

母親に振り回されて、人生に疲れている感じというか、常に何か絶望感を抱えているような表情や佇まいなど、しっかりと出せていましたよねえ。

妹の世話をする時の優しい感じなんかも良かったし、どうしても母親を見捨てておけないもどかしさなども伝わってきました。

今回は感情を抑えた芝居でしたが、今後は明るい役や悪者など色々な役を演じる彼を見てみたいですね。

まだ16歳ということもありますし、今後が楽しみな役者さんになりそうです。

MOTHER マザーを評価!

はまはま的評価     ⭐️⭐️⭐️⭐️⭐️⭐️     6/10

非常に見応えのある作品でしたが、映画としての盛り上がりは少なかった感じです。

秋子や周平の心情や、どうしてそうなったのかというエピソードなどが欲しかったですね。

役者陣の熱演に注目です。

終わりに・・・

実際の事件を元に描かれた今作「MOTHER/マザー」ですが、殺人事件ですし犯人が息子という事件の異常さばかりが目立ってしまいますが、その裏にはとても複雑な家族の事情があってのことだったというのが、この作品を観て知ることができました。

こういった重たいテーマを扱う作品を世に出すこと自体意義のあることだし、長澤まさみさんを主演に迎えて制作されたのもすごく良かったと思います。

彼女の新たな一面が見れました。

ただ不満な点もいくつかあって、淡々と進む感じなので、ひとつひとつのエピソードがつながりに欠けるといいますか。

ぶつ切り感がするというか、登場人物への掘り下げが物足りない印象はありました。

やっぱり秋子がいかにして、あんな毒親になったのかなどはしっかり描いて欲しかったですね。

家族の愛を扱うんですから、周平の息子としての心情がわかる演出なども知りたかった気がします。

とはいえ非常に有意義な作品に出会えたことに変わりはないので、今後もこう言った作品が増えてくれることに期待したいと思います。

ありがとうございました。

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    はまはま
    初めまして。 はまはまと申します。 好きな映画やスポーツやエンタメなどについて書くブログを始めました。 語彙力がないヘタクソな文章ではありますが、いろいろと書いていこうと思います。 よろしくお願いします。